ヨナ1章 私はヘブル人です

ヨナ1:9「ヨナは彼らに言った。「私はヘブル人です。私は海と陸を造られた天の神、主を恐れています」」
このヨナの言葉は他の船員や乗客には衝撃でした。なぜなら、ヘブル人の神はエジプトから脱出するとき、多くの奇跡を起こし、葦の海を2つに分けた神だったからです。誰もがそれぞれの神を信仰していましたが(5)、ヘブル人の神と聞いたとき大きな恐れが彼らを襲っています(10)。暴風の原因が「あのヘブル人の神」ということになると、彼らの心には厳しいさばきをされる偉大な神という思いが過ぎったからです。そもそもはヘブル人ではなく、アッシリアのニネベに救いの手を差し伸べることにヨナは違和感を感じていました(2-3)。それは、ヨナがニネベに着いて、主の預言を布告した後にも引き続き抱いていた感情です。ヨナは預言を伝えた後、ニネベの町外れで仮小屋を作って、ニネベがどうなるかを観察していました(4:5)。彼の感情と主の思いとはかけ離れており、主がニネベを滅ぼさなかったことで気分を害しています(4:1)。ヨナは神の声を聞き分け、多くの人に神のことばを伝える力が備わっていましたが、それとは別に個人的感情を持ち、主のなさることに疑問を持つ預言者でした。預言者といえば、何がなんでも神のことばを伝えるイメージがありますが、ヨナは違っていたのです。それゆえ、船にいた他の人々も驚き、怪しんだのだと思います。