詩篇54篇 われらの所に隠れているではないか

詩54:0「指揮者のために。弦楽器に合わせて。ダビデのマスキール。ジフの人たちが来て、「ダビデはわれらの所に隠れているではないか」とサウルに言ったとき」

ジフ人がダビデがジフのところに拠点を置いて隠れていることを密告したのは2回書かれています(1サム23:19、1サム26:1)。最初のときは、ダビデはジフではなくマオンの荒野にいたため(1サム23:24)、サウルはダビデを追ってマオンの荒野まで追いかけています(1サム23:25)。ちょうどそのとき、ペリシテが攻撃してきたためにサウルは追撃をやめ、ペリシテ迎撃のために戻っています(1サム23:26-28)。さらにもう一度ジブ人はサウルにダビデが自分の領地に隠れていることを密告しています(1サム26:1)。詩篇54篇の詩はこのときダビデが歌ったものだと思われます。サウルがジブまで来て陣を張っていたとき、ダビデはサウルの枕もとまで近づき、槍と水差しを取っています(1サム26:11-12)。それは絶対に「油そそがれた者」に手を下さないダビデの決意の現れでもありました(1サム26:9)。「神は、私を待ち伏せている者どもにわざわいを報いられます。あなたの真実をもって、彼らを滅ぼしてください(5)」とありますが、ダビデの行動には一貫して自分でさばかず、主に委ねるという信念があったと思います。たとえ、槍でひと突きにサウルを殺せたとしても(1サム26:8)、ダビデ自身は後悔したことでしょう。