ルカ4章 ヨセフの子ではないか

ルカ4:22「みなイエスをほめ、その口から出て来る恵みのことばに驚いた。そしてまた、「この人は、ヨセフの子ではないか」と彼らは言った」

イスラエルの社会ではどこの部族で、どの人の子なのかを重要な情報として扱ってきました。イスラエルの王の中でも多くは、母の名を紹介し、その母が誰の娘かも書かれている場合があります(2歴13:2など)。イエス様が知られているのは近所に住むごく限られた人たちです。いつも行くシナゴーグは決まっていますから、イエス様が顔馴染みであっても、どこの家の者かまでは知らない人もいたでしょう。そういう人は、イエス様の権威ある恵みのことばに驚嘆していても、周りからは「あれはヨセフの家の子だ」と言われてしまうのです。彼らにとってヨセフとかマリヤが問題なのではなく、今まで大工の息子として生活してきた同じ境遇の仲間が、急にみ言葉を語り出したことへの不信感が心にはあったようです。そこでイエス様は「預言者はだれでも、自分の郷里では歓迎されません(24)」と語り、エリヤが養われたシドンの女(26)、エリシャが癒しを言い渡したシリヤ人ナアマン(27)をたとえに挙げ、ナザレの人々には救いは来ないような言い方をしました(16)。「捕らわれ人には赦免を、盲人には目の開かれることを告げるために。しいたげられている人々を自由にし(18)」と、福音を告げたにもかかわらず、ナザレの人々は怒ってしまったのです(29)。