テトス1章 割礼を受けた人々

テトス1:10「実は、反抗的な者、空論に走る者、人を惑わす者が多くいます。特に、割礼を受けた人々がそうです」

テトスはギリシャ人だったので(ガラ2:3)、テモテ同様割礼は受けていませんでした。クレタ島の中にもユダヤ人はいたようで、割礼を受けた人というのはユダヤ人だったと思われます。彼らが反抗的な態度で、教会の人たちを惑わしていたのは、ひとつにはテトスが純粋なユダヤ人ではなかったことが原因として挙げられます。パウロが宣教当初おもに向かっていたのがその土地にあるシナゴーグでした。イエス様がメシアであることを証明するために聖書(旧約)を通して、語りかけ、論じ合いました(使17:2)。同じようにクレタ島でも宣教はユダヤ人にも語られましたが、逆に彼らによって妨害を受けるのです。それは、その土地のユダヤ人もクレテ人の性格を受け継いでおり「嘘つきで、悪いけだもの、なまけものの食いしん坊(12)」であったからです。どの教会でも同じですが、すべての人が従順でキリストだけに目を留めているわけではありません。テトスはとても厄介な場所で宣教しなければなりませんでした。パウロはクレテ人の性格も理解した上でテトスにアドバイスを送っています。それはコリントの手紙にもあるようにテトスはパウロの絶対的な信頼を受けており(2コリ7:6)、慰めの器でもあったからです(2コリ7:13)。