士師記2章 あなたがたにとってわなとなる

士2:3「それゆえわたしは言う。『わたしはあなたがたの前から彼らを追い出さない。彼らはあなたがたの敵となり、彼らの神々はあなたがたにとってわなとなる』」

あたかも主の使いはイスラエルの民を見捨てるような神のことばを告げています。このあとヨシュアに仕えた長老たちが生きているあいだは主に使えた、とあります(7)。彼らが亡くなると、主の御わざを伝える者は激減して、次第にイスラエルは主の前に悪を行うようになります(10-11)。結局、イスラエルの民の中には常に異邦の民が住み続き、彼らの神はイスラエルの民を惑わせるようになっていきました。主の使いのことばによるなら、これも神がなさったことだとわかります。しかし、全くイスラエルの民が見捨てられたわけではありません。どこに行ってもわざわいがイスラエルの民を苦しめたとき(15)、主はさばきつかさを起こして、イスラエルの民を救われたのです(16)。士師記はこのさばきつかさの物語で、2章はこれから各々の士師が活躍する前の概説的な章となっています。その背景にあるのは、約束の地に入った瞬間から難しいからといって、先住民を追い出せなかったイスラエルの民の弱気な心と、このぐらいなら神はお許しになるだろうという心の緩みだと思います。神の定めたことには理由があります。先住民を追い払うように命じたのは、彼らの神がイスラエルの民の心を奪って、主への信仰が揺らぐことを警戒してのことです。