詩篇88篇 友を遠ざけてしまわれました

詩88:18「あなたは私から愛する者や友を遠ざけてしまわれました。私の知人たちは暗い所にいます」

エズラフ人ヘマンとエタン(詩89篇)は、ソロモンがいかに知恵ある者かを証明するために、比較として登場する知恵ある者の名前として書かれています(1王4:31)。知恵ある者が若いころから悩み(15)、主の恐怖におびえているのは意外です(16)。賢いがゆえに善悪を見抜くことができ、人の営みの中でもがきながら楽しもうとしているのは、ソロモンも伝道者の書の中で語っています。ソロモンは「笑いか。ばからしいことだ。快楽か。それがいったい何になろう(伝2:2)」と嘆いています。本来ならば、友人たちと飲んで歌って楽しむことは、人生の中で唯意義なことなのかもしれません。しかし、知恵ある者たちにとって「実に、知恵が多くなれば悩みも多くなり、知恵をます者は悲しみも増す(伝1:18)」とあるように、決して知恵ある者が幸せとは限りません。さらに、ヘマンは愛する者や友が遠ざけられ、友と語り合うこともかなわないのです。そう言う意味においては、ダビデはサウルの子ヨナタンという親友がいて、苦しいときに相談し、命まで助けられています。話し合う相手がいないことは悲しいことです。唯一、神が心に応えられ、苦しみの中でも支えてくださるおかたなのです。ヘマンのマスキールには悲痛な叫びを感じます。