詩篇88篇 亡霊が起き上がって

詩88:10「あなたは死人のために奇しいわざを行なわれるでしょうか。亡霊が起き上がって、あなたをほめたたえるでしょうか。セラ」
「死人」のヘブル語は「muwth(ムース)」が使われており、「亡霊」には「rapha(ラーファ)」が使われています。どちらも「死」を表す単語です。歌い手のエズラフ人ヘマンは、「カルコルや、マホルの子ダルダよりも知恵があった(1王4:31)」と、ソロモンの知恵がいかに優れているかという例えに用いられるほど知恵がありました。また、エズラフ人という肩書きはありませんが、シンバルを使う歌うたいの一人に数えられ(1歴15:19)、ダビデはへマンとエドトンをシンバルとラッパの奏者として神をほめたたえるときに用いています(1歴16:42)。おそらく一流のシンバル奏者のヘマンは、悩み苦しんで、主の救いを歌っています。ヘマンは人が死んだら、奇しいわざを行なうだろうかと問うています。果たして一度死んだ者がが起き上がって主をほめたたえるのでしょうか。それは、生と死との間に大きな隔たりがあることを示しています。おそらく人間の霊も魂も神をほめたたえるのでしょう。しかし、肉体はどうでしょうか。肉体だけは、この地上にいるときにしか使うことができません。声をあげ、手をたたき、楽器を用いて主を賛美できるのは生きている間だけです。楽器奏者のヘマンならではの悟りだと思います。