詩篇141篇 うまい物を食べないように

詩141:4「私の心を悪いことに向けさせず、不法を行なう者どもとともに、悪い行ないに携わらないようにしてください。私が彼らのうまい物を食べないようにしてください」

日本語で「おいしい仕事」という表現があります。それは、あまり労せずして高い報酬を得る仕事のことで、本来なら労働と賃金の対価がつりあっていないことを指します。「彼らがうまい物を食べないようにしてください(4)」は、悪者が悪い行ないを気にせず、人が苦労し心配しても関心がない結果として食事を楽しんでいる様子のことです。2017年度訳では「うまい物をたべないように」は「ごちそうを食べないように」という訳になっています。「誰でも人の上に立ちたいと思うなら、みなのしんがりとなり、みなに仕える者となりなさい(マコ9:35)」というイエス様のことばは、指導者こそ一番辛い仕事を引き受け、他の人のために仕えることが必要だという戒めです。ダビデは王といえども、常に周りに人格者がいたわけではありません。ダビデ自身も行ないに気をつけ、自分の語ることばに責任を持たなければなりません。それゆえ「私の口に見張りを置き、私のくちびるの戸を守ってください(3)」と訴えています。「彼らが悪行を重ねても、なおも私は祈ります(5)」は、ダビデの諦めない態度の表れだと思います。少しばかり祈って、相手の態度が変わらないならば諦めてしまいがちですが、ダビデは主に信頼しており、祈り続けたのです。