2サムエル1章 おまえの血は、おまえの頭にふりかかれ

2サム1:16「そのとき、ダビデは彼に言った。「おまえの血は、おまえの頭にふりかかれ。おまえ自身の口で、『私は主に油そそがれた方を殺した』と言って証言したからである」」

結局サウルの本当の死因は隠されたままになってしまいました。ただ、サウルの遺体は発見されヤベシュ・ギルアデの人々がサウルを葬ったとあります(2:4)。ヤベシュ・ギルアデはかつてサウルによってアモン人から救われたことがあり、サウルに非常に恩を感じていました(1サム11:9)。彼らはその恩を忘れず、サウルを大切に思いサウルがなくなったときも丁重にサウルを葬り、尊敬の意を表しました。ダビデもヤベシュ・ギルアデの人々の行為を喜び、彼らに使いを送って主君サウルに真実を尽くしてくれたことにたいして礼を言っています(2:5)。あれだけ追いかけられ、逃亡生活を余儀なくされたダビデは絶対にサウルを恨んだり、憎んだりはしませんでした。むしろ、油そそがれた者に対する畏敬と尊厳の心を忘れず、サウルに対するヤベシュ・ギルアデの人々に礼こそ言えども怒ることはありませんでした。それだけに平然とサウルを撃ったというアマレク人を許すことはできなかったのです。それは世間にはダビデがサウルに追われていることが知れ渡っており、ダビデとサウルは敵対関係にあると思う者が多くいたことを示しています。アマレク人はきっと褒美がもらえるとうそまでついて報告にきたのに、ダビデがいかに主を畏れているかを知らなかったのです。