ナハシュの子ハヌン

2サム10:2「ダビデは、「ナハシュの子ハヌンに真実を尽くそう。彼の父が私に真実を尽くしてくれたように」と考えた」
時代が前後していますが、ナハシュの子ハヌンの父はおそらくショビであり、彼はダビデがアブシャロムから追われたときに、食料や生活必需品を提供して助けたことが書かれています(2サム17:29)。それ以外ではアモン人ナハシュ族の誰かがダビデを助けた記録はありません。また、ダビデがアモン人を打ち負かしたとなると、ナハシュの子らがダビデを援助するのはつじつまが合いません。このヨナタンの子メフィボシェテを養う件とアモン人討伐の一連の出来事は、もっと時代が後なのかもしれません。なによりもダビデの性格を考えるなら、たとえ異国の民であろうと一度受けた恩は忘れず、必ずその恩に報いようとするはずです。今回も前王が亡くなり、おそらく若くしてアモン人の王になったハヌンという男に「お父さんに世話になった。何でも援助させてください」というダビデ特有の恩義のお礼のつもりだったのです。いつの世にも、若いリーダーに対してよからぬ助言をする者がいるものです。このときもアモン人のつかさたちは、ダビデの本意を知ろうともしないで勝手な想像で主君を操ってしまったのです。もし、神にうかがい、へりくだって自分の思いを優先させなければアモン人はもっと平和でいられたと思います。