ローマ市民権

使22:29「このため、パウロを取り調べようとしていた者たちは、すぐにパウロから身を引いた。また千人隊長も、パウロローマ市民だとわかると、彼を鎖につないでいたので、恐れた」
パウロの母はベニヤミンの子孫でユダヤ人です。父がローマ市民だった関係上、彼にも同等の資格が与えられていました。おそらくパウロの父も天幕職人で、パウロが天幕を作る技術も父親からの指導ではなかったかと推測できます。同時に彼はシナゴーグに熱心に通い、律法においてはスペシャリストでした。パウロの父もローマ人でありながらユダヤの神を信じる者だったのでしょう。ローマ兵といえども、ローマ市民とは限りません。千人隊長が話したように、多額の金でローマ市民権を買う者もいたのです(28)。ローマ市民は公平に裁判を受ける権利を持っていました。ピリピで牢獄にいれられたとき、むち打たれる前にそのことを主張しなかったのは、主からの導きがあったからだと思います(16:37)。しかし今回のパウロはいきなりローマ市民権の行使です。それは、彼が捕まったとしてもローマ市民であるなら上訴することができ、皇帝の前で弁明することを想定していたのだと思います。パウロの伝道は一気に頂上決戦へと導かれていきます。もともとはパウロが異邦人を宮に連れ込んだという勘違いからおきた騒動です(21:29)。混乱に見える状況でもすべては益に変えられていくのです。