エゴ エイミ

ルカ22:70「彼らはみなで言った。『ではあなたは神の子ですか』すると、イエスは彼らに『あなたがたの言うとおり、わたしはそれです』と言われた」
「わたしはそれです」の原文は「ego eimi(エゴ エイミ)」となり、モーセの前で名乗った神の名前、すなわち「i am who i am」と同じ言葉です。ヘブライ語では「hayah asher hayah(ハヤ アシャ ハヤ)」と表記され、「hayah」は「わたし」という意味よりも、「存在する」というニュアンスの濃いものです。新約の中には最低でも8回「エゴ・エイミ」が登場しますが、この箇所の「エゴ・エイミ」は格別に意味の深いものだと思います。それは、その前の質問がイエス様の核心部分に触れたものだからです。祭司長たちは「あなたがキリストなら、そうだと言いなさい(67)」と最初に聞いています。しかし、それに対してイエス様は「人の子は、神の大能の右の座に着きます(69)」と答えられます。祭司長たちの次の質問は、長い間聞きたくても、言い出せなかったイエス様の本質を問うものでした。すなわちイエス様がメシヤだと名乗ったとしても、世の中に偽預言者はたくさんいたので、イエス様を嘘つき扱いにしてその場の裁きは終了します。しかし、自分を神と等しくするならそれは冒涜であり、罪を追及するべきものです。ついに祭司長たちが長い間できなかった質問をするときがきたのです。そしてその答えは「エゴ エイミ」すなわち、「わたしはあるもの」という神だけしか使うことのできない答えだったのです。