ツロのヒラム

1王9:13「それで彼は、「兄弟よ。あなたが私に下さったこの町々は、いったい何ですか」と言った。そのため、これらの町々はカブルの地と呼ばれた。今日もそうである」
新改訳の下の注解には「カブル」は「ないのと同じ」という意味だとあります。ヘブライ語「kabuwl(カブール)」はもともと「kabel(カベール)」の派生語で「結びつける」という意味です。しかしカブールの発音が「意味のない」というヘブライ語の発音とそっくりなため、ある訳ではカブルではなく「意味のない土地」という表記がされる場合があるそうです。とにかく、ソロモンは金120タラント(約4トン)やその他多くの贈り物に対して、等価のお返しをしたとは言えません。ガリラヤはツロに近い土地でしたが、山を越えてその地に行かねばならず、貿易を主とし、最も繁栄した港を持つ海洋族のツロにとっては、近くてもありがた迷惑だったのかも知れません。ツロの王ヒラムはオフェルという金の取れる島を知っており、ソロモンのしもべたちと共に金を取りに行ったことが書かれています(27)。本来なら国家機密で、航海に長けているツロの水夫でなければいけない所です。しかし、ヒラムはソロモンから自分の気に入らない贈り物を贈られたとしても、怒らずソロモンに対して友好的な立場を取り続けるのです。シェバの女王が感銘して心打たれたように、ヒラムもまたソロモンの知恵に驚き、ツロが繁栄するにはソロモンと協力関係にあったほうが徳だと考えたのでしょう。