ニムロデ再登場

1歴1:10「クシュはニムロデを生んだ。ニムロデは地上で最初の権力者となった」
歴代誌の最初は「アダム」という名前から始まる、極めて珍しい書簡です。しかも何の注釈も書かれていません。もし系図が書かれるときには「○○の歴史」とか何かしらの説明があるものです。歴代誌は列王記を祭司の目から見た書簡です。それゆえ列王記と重なる記事は多くあり、2つを読み比べることにより歴史の真実がわかるようになっています。最初の系図は創世記のものと同じです。歴史的な大洪水の史実はあえて書かれていませんが、ノアが系図に登場しその後人類の歴史が再構築されていきました。その中でハムの子孫クシュの子どもにニムロデがいたことが書かれています。クシュは黒人のルーツです。したがってニムロデの肌も黒かったことが推測できます。つまり最初の権力者は黒人だったのです。ノアの洪水でさえ書かれていないのに、ニムロデが権力者になったことだけは書かれているのは、特別な意味があるのだと思います。原文ヘブライ語では権力は「gibbowr(ギボー)」となり、力のあるとか強大なという意味になります。権威は天からだと聖書にありますが(ロマ13:1)、ニムロデも天からの召しを受けて権力を手にしたのでしょうか?ニムロデが力を持ち強大になっていくには、通らなければならない関門がたくさんあったと思います。それまでリーダーになる人はいても、権力という概念はニムロデが最初に人類に示したものです。