エステルvsハマン

エステル7:6「エステルは答えた。『その迫害する者、その敵は、この悪いハマンです』ハマンは王と王妃の前で震え上がった」
アハシュエロスはけっこう思いつきで行動する王だと思います。王の指輪をハマンに預け、ユダヤ人の迫害を支援したのはアハシュエロス王自身です(3:11)。また、エステルを1ヶ月も召さず放っておき、エステルが目の前に現れるなら「国の半分でも授けよう」と、エステルの機嫌をとるように言うのです(4:11,5:3)。国の頂点に立つ者が、日常の職務を下の者たちに任せることはよくあることですが、アハシュエロスの場合はあまりにも人の言葉に左右されすぎです。エステルとハマンの対決は、王がエステルに金のしゃくを差し出した時点で勝負があったように思えます。それほどエステルの美貌にアハシュエロスが肩入れをしており、彼女の願うものは何でも授けるような雰囲気が出来上がっていたからです。ユダヤ人を迫害する命令も王の指輪の印が押され、ユダヤ人を救う命令にも王の印が押されていました(8:8)。一貫しない王の態度の裏には、大国ゆえに王の目の届かない部分が多くあり、要職には才能があり信頼のおける人材を登用しないと、国は傾きかねないという教訓でもあるような気がします。そういう意味においてはモルデカイが王に次ぐ位に就いたことはペルシャのためでもあり、主のご計画だったのです(10:3)。