哀歌の書き出し

哀歌1:18「主は正義を行なわれる。しかし、私は主の命令に逆らった。だが、すべての国々の民よ、聞け。私の痛みを見よ。私の若い女たちも、若い男たちも、とりことなって行った」
哀歌はヘブライ文字のアルファベットが各連のはじめに来るような技巧を凝らした歌になっています。ヘブライ語のアルファベットはalef(アルフ), bet(ベート), gimel(ギーメル)…(中略)…shin(シン), tav(タヴ)と続き、全部で22個の文字があります。1章と2章、4章と5章はそれぞれ22節ずつあります。3章だけはアルファベットの書き出しのルールから離れており、長い66節にも及ぶ歌になっています。ここでは1章18節を選びましたから、その書き出しにはアルファベット18番目の文字tsadi(ツァディー)が使われています。the Lord of righteousの「righteous」にあたる言葉「tsaddiyq(ツァーディーク)」がその言葉です。かなり高等テクニックを用いた作者は、主の御言葉にかなり精通しており、読み書きが得意で、文学の方面にも知識がある人となり、一説ではエレミヤがこの哀歌を書いたのではないかとも言われています。もともとはエレミヤ書の巻末にこの哀歌が付録のように付けられており、それもエレミヤが作者だという根拠になっています。預言者の度重なる忠告に耳を傾かなかったユダヤ人への哀れみと嘆きの歌が哀歌の中心になっています。