ある青年

マタ19:17「イエスは彼に言われた。『なぜ、良いことについて、わたしに尋ねるのですか。良い方は、ひとりだけです。もし、いのちに入りたいと思うなら、戒めを守りなさい』」
ひとりの人(16)は青年だったと書かれています(20)。青年はギリシャ語で「neaniskos(ネアニスカス)」が使われており、少年の意味の「padarion(パダリアン)」よりもう少し年齢が上だということがわかります。ルカではこの青年は役人だったと書かれています(ルカ18:18)。若くしてエリート高官、しかもユダヤ人でしっかりした教育の元に育ったことが想像できます。彼の望みはひとつだけです。「永遠のいのちを得る(16)」ことです。新約聖書で永遠のいのちと書かれているのはここが初めてです。青年は、地位も富もあり、律法を守る生活をしていましたが、不安がありました。それは死んだらどうなるのだろうか?ということです。そこで「良い(agathosアガソス)」つまり何か「善」あるいは「正しい」ことをすればいのちを得るのではないかと考えたのでしょう。しかし、正義は神にしかないことをイエス様は言われます。それを実現するには、すべてを捨てて神に従うことです。今持っている財産を処分し、貧しい者に与えることは彼にはできませんでした。青年はこの世の満たしと永遠のいのちの両方を得ようとしたのです。イエス様は神に従い、永遠のいのちを得るには見えるものに頼ってはならない…と伝えようとしたのではないでしょうか。