砕かれたダビデ

詩34:18「主は心の打ち砕かれた者の近くにおられ、霊の砕かれた者を救われる」
詩篇の最初の題のところで「彼がアビメレクの前で気が違ったかのようにふるまい」とありますが、サムエル記にはダビデはガテの王アキシュの前で精神異常を装ったとあります(1サム21:13)。アビメレクはノブの祭司とあります。聖書にはノブは祭司の町(1サム22:19)とあるだけで詳しいことはわかっていませんが、レビ族を中心とした家族が暮らしていたようです。ダビデは単独で行動しており(1サム21:1)、アビメレクから供えのパンと剣をもらいました(1サム21:5-9)。ノブを離れ、ガテの町にたどり着いたとき、王アキシュの家来がゴリアテを倒したダビデではないかと王に告げます。勇者ダビデもこのときは「ガテの王アキシュを非常に恐れた(1サム21:12)」とあります。その結果として、ダビデは気がふれたフリをしたのです。恐れがダビデをとんでもない行動に走らせました。ゴリアテをたった一撃で倒したダビデの姿はそこにはありませんでした。ダビデは何でも勇敢に戦うことが最善ではないことを学んでいる最中だったと思われます。ときには勇敢に、しかしときにはただ主により頼むことも必要だと気付きました。この歌はそのときの歌です。王であるにもかかわらず、人から笑われるような行為はプライドがあってはできません。ダビデがプライドを捨てる覚悟ができたとき、主の救いはやってきたのです。