ユダヤ人の完成

ロマ11:12「もし彼らの違反が世界の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となるのなら、彼らの完成は、それ以上の、どんなにかすばらしいものを、もたらすことでしょう」
パウロがまだサウロと呼ばれていた頃、彼のおもな仕事はキリストを信じた者たちを迫害することでした(使8:3)。教会初期の頃はクリスチャンたちはマイナーな存在で、ユダヤ人たちはクリスチャンを嫌って迫害を続けたのです。しかし、時代の流れと共に立場は逆転します。その大きな基点となったのがローマがキリスト教を国教化したことです(AD379)。AD70年にユダヤ・ローマ戦争でエルサレムが陥落して以来、多くのユダヤ人たちは殺され、奴隷となりましたが、逃亡し亡命者になった者たちも多くいました。世界中に散らばったユダヤ人の歴史は悲惨でいつもいじめられていたイメージがあります。「屋根の上のバイオリン弾き」や「アンネの日記」などの作品にはユダヤ人がいかに世間から受け入れられていなかった様子が描かれています。それでも1948年には国連の承認を経て、イスラエルは再建国を果たしたのです。現在のイスラエルは神からの恵みと祝福であふれている?…どうやらそうではなさそうです。国の収入のほとんどを防衛、軍備にとられ、700万人の人口の5分の1は貧困層だと言われています(OECD経済協力開発機構のデータより)。それでも彼らには聖書のみことばがあります。パウロの言う「彼らの完成」があるのなら、ユダヤ人の将来は明るいものです。結局、主は最初に選んだ民を見捨てず最後まで責任を取られることは明白なのです。