自分の前に神を置く

詩54:3「見知らぬ者たちが、私に立ち向かい、横暴な者たちが私のいのちを求めます。彼らは自分の前に神を置いていないからです。セラ」
52編のドエグの密告に続いて、ジフ人がサウルに密告したときに歌ったダビデの歌です。ジフの密告の前にはケイラの人たちの裏切りがありました。ダビデはぺリシテ人のケイラ略奪を知り、ケイラを救ったにもかかわらず、ケイラの人々はサウルにダビデを売ろうとしたのです(1サム23:1-3)。また、ジフ人がサウルに密告したときには、ジフ人に仕返しするようなことをせず、黙って退却しました。ダビデの一連の行動は自分の意見を主張せず、裏切った者たちに復讐することなく、ただ主に拠り頼み、従うことに徹していました。それはケイラを救うとき、ダビデは主に伺って攻めるべきかどうかを尋ねていることでもわかります(1サム23:2)。ダビデは自分を裏切る者たちは、「彼らは自分の前に神を置いていない」と歌い、主に従う自分とは違うことをアピールしています。ダビデは2度もサウルの命を奪うチャンスがあったにもかかわらず(1サム24章,26章)、「主から油注ぎを受けた者に手をかけることはできない」とサウルを主の判断にゆだねたのです。すべてはダビデが主とともに歩んでいたから成されたことです。自分の前に神を置くことはダビデにとって最優先のことであり、自分の判断よりも主の判断に信頼を置いていたことがわかります。