1回だけ2つのこと

詩62:11「神は、一度告げられた。二度、私はそれを聞いた。力は、神のものであることを」
一度しか告げられないことを2度聞くのは難しいと思います。それはヘブル語「shenayim(シェナイム)」が単に「2」を表す語で、それが「2回」なのか「2つ」なのかは判断が分かれるところです。英語キングジェームスやNIVでは「two things」となっており、「2つのことを聞いた」ことになっています。また、新共同訳でも「2つのことを私は聞いた」と訳されています。12節では「恵みもあなたのものです」と書かれ、「も」という接続詞が前の節にも掛かるとするなら、「力は神のもの」「恵みもあなたのもの」という2つのことを1度告げられた、と訳するほうが妥当なのかも知れません。ちなみに「あなたのもの」の「あなた」は「adonay(アドナイ)」が使われ主を指しています。ダビデは最初に「黙って、ただ神を待ち望む(1)」と語っており、ダビデがひたすら主に主張するのではなく、沈黙し主の声を聞く姿勢があったことがわかります。その結果、主からの大切な言葉を聞き逃すことがなく、すべては神の判断の元にあることを知るのです。「あなたは、そのしわざに応じて人に報いられます(12)」は主が語られてダビデが悟った大切な教えだと思います。