中風の人

マタ9:2「すると、人々が中風の人を床に寝かせたままで、みもとに運んで来た。イエスは彼らの信仰を見て、中風の人に、「子よ。しっかりしなさい。あなたの罪は赦された」と言われた」
この話の火種になったのはローマの百人隊長の話です(8:5-13)。イエス様は百人隊長のしもべの病にすぐに「行って、直してあげよう(8:7)」と言われましたが、百人隊長は「お言葉だけをください(8:8)」と断るのです。イエス様はこの百人隊長に驚嘆して「イスラエル中でも、このような信仰を見たことがない(8:10)」と言われました。同じ中風の病でも今度は寝かせたまま連れてきました。百人隊長に比べるとまだ信仰の度合いは深くありません。しかし、聖書には「イエスは彼らの信仰を見て」とあります。運べないなら寝床ごと…という仰天の発想は、やはり神の心を振り向かせるだけの力があったようです。そこでイエス様は彼らに「あなたの罪は赦された」とことばだけをかけたのです。あたかも百人隊長の信仰が彼らにはあるだろうか…と試しているかのようです。中風の人の反応は書かれていませんが、代わりに律法学者の心のうちが描かれています(3)。百人隊長、中風のしもべと律法学者と中風の人は対比して書かれていると思います。「中風」という同じ病を通して、片や権威を理解している者、もう片方は権威を理解していない者に分かれました。残念ながら「イスラエルの中でも」というイエス様のことばは当たってしまったのです。