ゲヘナで滅ぼされる

マタイ10:28「からだを殺しても、たましいを殺せない人たちなどを恐れてはなりません。そんなものより、たましいもからだも、ともにゲヘナで滅ぼすことのできる方を恐れなさい」
新改訳ではゲヘナギリシャ語原文の発音に従い「ゲヘナ」と訳されています。他にハデスという単語もあり、新改訳はやはり原文の発音通りの「ハデス」ですが、新共同訳ではゲヘナは「地獄」、ハデスは「陰府」あるいは口語訳では「黄泉」と訳されています。イエス様ご自身がゲヘナについては「燃える」という表現を使っているので(5:22)、サタン(デュアボロス)が投げ込まれる火と硫黄の池という黙示録の記述と似ています(黙20:10)。一方ハデスに関しては「燃える」という概念はなく、天に対して下に落とされるというイメージが強く(11:23、ルカ10:15)、また門があり(16:18)それを開けるかぎが存在するようです(黙1:18)。黙示録では「死とハデスが火の池に投げ込まれる(黙20:14)」という表現があり、「火の池」がゲヘナだとすると、ハデスを同じように「地獄」と訳すわけにはいかないようです。ルカに出てくる金持ちは死んだ後、ハデスで苦しみはるか遠くにアブラハムとしもべラザロを見た…と書かれています(ルカ16:23)。ゲヘナが最終のさばきの場所なら、ハデスはその手前の場所と考えられるのではないでしょうか?