ルカ15章 兄はおこって

ルカ15:28「すると、兄はおこって、家に入ろうともしなかった。それで、父が出て来て、いろいろなだめてみた」

なぜ兄は怒ったのでしょうか。弟のおかげで父から生前贈与を受けて、財政的にも潤ったはずです。弟は財産をもらって「幾日もたたぬうちに(13)」旅に出てしまいました。家庭は裕福で「父のところには、パンのあり余っている雇い人が大ぜいいるではないか(17)」とあるように、決して悪い環境ではなかったはずです。しかし、弟は家を出て自分の思い通りの生活をしてみました。お金はただ使うだけならすぐになくなってしまいます。弟は財産を「湯水のように(13)」使ったとあります。それに対して、兄は弟が帰ってきたときには、畑で作業をしていました(25)。しもべがいて、財産も手に入ったのなら、畑に行かずとも仕事を任せれば良いと思ってしまいます。兄は実直で真面目な性格だったのでしょう。それゆえに、弟の放蕩は許せなかったのだと思います。兄は弟が遊女におぼれていたことを知っていました(30)。何に金を使っても自由ですが、遊女にお金を注ぎ込むのはもっとも生産性のない使い方です。本来なら、弟の安否を気にして無事かどうかを確かめるのが、兄としての務めなのではないでしょうか。いなくなったのが見つかったことより、金の使い方を気にしている兄には父の気持ちは理解できなったのでしょう。