ツィバの大嘘

2サム19:30「メフィボシェテは王に言った『王さまが無事に王宮に帰られて後なら、彼が全部でも取ってよいのです』」
メフィボシェテはサウルの子とされていますが、最初聖書に登場したときにはヨナタンの子となっています(9:3)。ツィバはサウル時代から仕えた使用人で、忠実にサウル、ヨナタン、メフィボシェテに仕えていまいた。サウルとヨナタンが戦士したとき、もう自分の仕える主人はいなくなった…と思ったかもしれません。しかし、彼は忠実に足の不自由な年若いメフィボシェテの面倒を見てきたのです(9章)。にも関わらず、メフィボシェテが王の食卓につけるほどダビデの好意を得ていることを知ると心が徐々に揺らいできました。ダビデがアブシャロムに追われているとき、空のろばを連れたツィバがダビデを迎えます(16:1)。なぜ空のろばだったのか?その秘密がメフィボシェテ本人の言葉によって明かされます。「このしもべは『私のろばに鞍をつけ、それに乗って、王といっしょに行こう』と思ったのです(26)」。そのときツィバはダビデに、メフィボシェテが「ダビデ王がわたしの祖先サウルの土地を返してくれると言っている」と嘘をついたのです。しかしメフィボシェテは、そんな嘘についても反論せず、ダビデの安否だけを心配し、使用人ツィバが仮に全部の土地を取ったとしてもダビデさえ無事であれば良いと告げたのです。ここでメフィボシェテとダビデの会話は終わっていますが、ダビデはすべてを理解したようです。